鈴川の歴史


5、印鑰神明宮を中心として  

印役の神明宮・・・歴史マップ14を参照
 
 木立も古き神明宮 鐘の音響く金勝寺
 ながき歴史を伝えたる この鈴川の里こそは
 わが学びやの 在りどころ
 たのし 楽し ああたのし
                  (前の鈴川小学校校歌)


 鈴川にきて森と言うと先ず印役の神明宮です。モリは杜とも書いて昔は杜と神社は神聖なところ、そして神のおわすところと言う意味でした。
 その神明宮の歴史は古く、しかもその名を「いんやく」と言うのは、昔、印(印章)と鑰(やく・かぎ)を御神体として祀った神社で、その神社の名がやがて村や町の名前にもなったと伝えられています。
 しかも調べてみると印鑰神社は、一国一社の貴重な神社で、その所在がまた重要なのです。
 印役の神明宮は、遠く奈良時代に大野東人と言う将軍によって創建されたと言う由来を持っています。それを明らかにするように、神社の周囲からは土師器や須恵器そして刀なども出土しています。中でもワラビ手刀の古刀は非常に貴重で山形市の有形文化財に指定され、神社の寶として大切に保管されています。
 印役の人々をはじめ鈴川の人々はこの神社を大切にし、お祭りは毎年九月二十一日(本祭)と二十三日に盛大に行われて、地元は勿論、近郷からも参詣者が特に多いようです。

◆印鑰神明宮の正参道と燈籠・・・歴史マップ14を参照 
  印鑰神明宮の正参道は、西側の県道(俗に山寺街道)から入るのが本当です。
 そこには石鳥居や古い青銅製の燈籠が(天明年間の造立)一対が立っていて、いかにも古い神社という感じを抱きますが、南方から入る参道は昭和十七年の鈴川村と言った時代に「みんなで参道を寄進しよう」と相謀り、時の大宮村長さんを先頭に村民が土地と労力を奉仕して凡そ幅十四米余、長さ三百米余という思い切った参道を寄進したのです。
(この参道は神明宮の境内として登記されています。)


 ◆国司壇・・・歴史マップ9を参照 
  大野朝臣東人の家臣としてついてきた原田・深瀬の両人を祀ったと言われている小さな祠です。
 この祠を「国司壇」と呼んでいます。境内にはヒガン桜の古木があって相当年数を経たものと思われます。
 この祠には「保食神」が祀られています。麹(味噌・醤油などを作る際用いる)が変じて「こうじの神」になり、製造者の神と書いてありますが、単なる語呂合わせではなく、古宮司(原田・深瀬の両人)を祀った壇だと解釈できるようです。
  
◆弘法大師尊像陽刻塔
 石塔は長松寺の中興の祖と仰がれた太素慧元大和尚の手になる達筆な像と字の珍しい陽刻の碑です。特に篆書の彫りが美しく素晴らしいものです。天保三年(一八三二)とあってその塔の左側には午頭天王の碑も建っています。

 ★義太夫報恩碑
 この碑は印役の県道から奥まったところにあって「竹本富太夫」の報恩碑です。義太夫は鈴川地区で特に幕末期に隆盛したもので、長谷川利助翁も竹豊桔梗の芸名で嗜んだと言われます。竹本富太夫は本名原田幸太郎と言い、この碑は生前に門下生一同が義太夫とその妻「まつ」と娘「かう」のために造立したものです。義太夫だけでなく学問や、妻と娘が針子の教育にも当たっていたためと言われています。富太夫は碑の建てた二年後の天保七年(一八三六)五月二十日に没しています。

 ◆印役聖観音堂・・・歴史マップ42を参照
 印役の観音様として土地の人々から崇められ春は四月十七日、夏は八月十日が縁日とされています。境内には天明二年(一七八二)の古い石碑や石燈籠その他の石碑が立ち並び、堂内には約二百年前からあったと思われる江戸時代の貴重な連句も掲げられており、鈴川の昔の文化が偲ばれます。

 ◆姥神・・・歴史マップを40参照
 姥神は鈴川地区では、無量寺・伊豆神社・深澤不動尊参道沿いなどにもあり、独立してお堂のあるのはここだけです。
 原田隆氏の井戸から出たものと言われ、加藤運弥家の土地に祀ったものです。
 姥神は一般的に人が死んで三十五日忌になると、死者が三途の川を渡りきったところにいる姥神から着物を剥がされないよう、無事に極楽にいくのを助けるために祈りを込めて祀ったものと言われています。
 

◆古峰神社・・・歴史マップを47参照
 盃山に祀ったものと異なる神社です。通称八方山とも言われその小高い円形の丘の上にあってやはり防火の神様として崇敬されています。創建の時期は定かではありません。但し諸所方々に存在する神様で栃木県が本社です。
 昭和五十六年秋、土地区画整理事業の際、神明宮から大野目までの南北に道路を造成したとき、何か出土しないだろうかと期待しましたが、結局何も出ませんでした。
 
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